震災から6年

東日本大震災から6年が経ちました。
あれは、私にとっては大学院を卒業する年でした。
地元の横浜にいたので、震度5強の揺れでした。
1階の自室でコタツに入っていて、左右に揺さぶられる感覚がだんだん強くなって、2階で昼寝をしてる父が心配で階段を駆け上がったことを覚えています。
父も飛び起きていましたが。
外の道路から今まで聞いたことのない量のクラクションが聞こえてきました。
慌ててテレビをつけて、少し落ち着いた頃には、信じられないような映像やテロップが飛び込んできました。

揺れも怖いし、仕事で外にいる母も心配だし、生きている心地がしませんでした。
なにより、この寒い東北の地で、電気やガス、水も不自由で、家族の安否もわからない人がいる。
それを考えると、関東の暖かいところで家族といる自分が、なんだか申し訳ないような気がして、普段の生活の中で笑うことさえ、なんだか躊躇していました。

それから5年後、結婚してこの地に来ました。
私が知っている宮城県は、震災から5年後の宮城です。
津波の跡、未だ行方不明の方々の看板、仮設住宅、、様々なところに、あの日の足跡があります。
1年間暮らしてみましたが、この地に暮らす人々が、あのときどんな気持ちで過ごしていたのか、私には想像することしかできません。
どんなに想像を巡らせても、きっと不十分なんだと思います。
理解してますっていう方が、なんだか傲慢な気がしてしまいます。

だけど、縁があって来たこの地です。
私には想像することしかできませんが、目の前にいる人たちの気持ちを受け止めて、寄り添う気持ちを持ち続けていきたいです。
そして、1人でも多くの人の笑顔が見られるように、自分にできることを精一杯やっていきます。

最後になりましたが、犠牲になられた方々と、傷を負った方々に、心からの祈りを捧げます。


絶対に俺の子な訳がない、だって…

嫡出推定の及ばない子ども

婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもであっても、嫡出子であるとの推定が及ばない場合もあります。
それはどんな場合かというと、外から見て、明らかに夫の子どもではありえない場合です。

具体的にいうと、刑務所に入っていたとか、失踪中だったとか、海外に赴任していたとか、事実上離婚状態にあったとかです。
単に仲が悪かったからとかではダメで、外から見て客観的に夫婦の間に性交渉がなかったと認められることが必要です。

推定が及んでいる場合

推定が及ばない場合と及ぶ場合と、どういう違いが出るのか?
推定が及ぶ場合には、夫が自分の子でないと主張するには、その子どもの生まれたのを知ってから1年以内に訴えを提起しなくてはなりません。
提起するのは、嫡出否認の訴えです。

仮に血の繋がっている本当の父が自発的に自分の子どもであると認知をしようとした場合、嫡出否認の訴えが認められて、夫の子どもであることが否定された後でないとできません。
また、血の繋がっている本当の父に強制的に認知をさせようとする場合にも同様です。

推定が及ばない場合

一方で、推定が及ばない場合には、そもそも嫡出子であることを否認する必要がないため、夫が自分の子どもでないと主張するまでもなく、嫡出子とはなりません。
訴えを提起するとしたら、親子関係不存在確認の訴えとなります。
親子関係不存在確認の訴えは、夫に限らず、利害関係のある人なら誰でも提起できますし、嫡出否認の訴えのような期間制限もありません。

血の繋がっている本当の父が自発的に認知する場合も、あるいは強制的に認知させる場合にも、嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認の訴えを先行させる必要はありません。


推定されたって、自分の子じゃない!

嫡出否認の訴え

婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもは、夫の子どもであるとの推定を受けます。
ただ、実はその夫婦が1年前から家庭内別居の状態にあり、全く身に覚えがないぞ、という場合もあり得ますよね。

このような場合、子どもが生まれたことを知ってから1年以内であれば、父であると推定されている人は「嫡出否認の訴え」を起こすことができます。
自分の子じゃないぞ!という主張ですね。

ちなみに、子どもが生まれる前や、子どもが生まれたことを知ってから1年以内に父であると推定されている人が亡くなった場合でも、訴えが提起されることがあります。
子どものために相続権を害される人や、父であると推定されている人の三親等内の血族であれば、父が亡くなってから1年以内であれば嫡出否認の訴えを提起できるのです。

否認権の喪失

子どもが生まれたことを知ってから1年以内であっても、父であると推定されている人自身が子どもが自分の嫡出子であると承認した後には、嫡出否認の訴えを提起することはできません。

ただ、名前をつけたり、出生届を出しに行くといった行為は、それだけでは承認には当たらないと考えられています。
では、承認に当たると考えられているのはどのような行為かというと、例えば、自分の子どもでないとわかっていながら嫡出子として出生届を出したような場合ですね。
このような場合には、積極的に自分の子どもであると認めていると言えるため、否認権を失うとされます。


お父さんはどっち?

二重の推定

離婚をした時に妊娠をしていた場合、生まれるまでは、離婚後100日経たないと再婚ができません。
もしこれを許すと、前夫も後夫も子どもの父親であるという推定が働いてしまって、どちらが子どもの父親なのか、紛争の種になります。
そのような事態は避けたいので、100日間の再婚禁止期間があります。
昨日お話しした内容ですね。

ただ、間違って婚姻届が受理されてしまうということも、あり得ないことではありません。
婚姻届には、妊娠してるかどうかや離婚歴などの記載欄はありませんし、現在戸籍の電子化は進んでいるものの、市町村間で共有ができるまでには至っていないようですから。

ということで、誤って受理されてしまって、前夫と後夫とで二重に父であるとの推定がなされる場合に備えて、「父を定めることを目的とする訴え」というものが規定されています。

父を定めることを目的とする訴え

訴えることができる人は、子、母、前夫、後夫です。
子や母が訴える場合には、前夫と後夫を相手取ります。
前夫が訴える場合には後夫を、後夫が訴える場合には前夫を、それぞれ相手取ります。
相手が亡くなっている場合には、検察官に相手になってもらいます。

父を定めることを目的とする訴えが提起された場合には、裁判所が父を定めることになります。


男はすぐに再婚できても、女にはすぐにできない場合があります

再婚禁止期間

女性は、前婚の解消又は取消しの日から100日を経過した後でなければ再婚をすることができないと規定されてきます。
ただし、前婚の解消又は取消し時に懐胎していなかった場合と、前婚の解消又は取消し後に出産した場合は、上記の規定は適用されません。

簡単に言うと、妊娠中に離婚した場合には、離婚してから100日経たないと再婚できませんよ、でも、出産しちゃえば別に再婚してもいいですよ、という規定です。

二重の推定

この規定は、以前は100日ではなく、6ヶ月だったんです。
約180日ですね。

憲法は14条で両性の本質的平等を掲げています。
男女は平等であると。
それなのに、なぜ女性はすぐに再婚してはいけないんだということで、批判がすごかったんです。

ただ、民法は、婚姻の成立の日から200日を経過した後から、婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子どもを夫の子であると推定します。
そうすると、仮に離婚してすぐに再婚して、210日後に子どもが生まれた場合、どうなるでしょうか?
離婚後300日以内ですから、前夫の子どもと推定されます。
また、再婚してから200日より後なので、後夫の子どもとも推定されます。
前夫と後夫の子どもで、二重に推定されてしまうのですね。

そうすると、どっちが父親なのかということで、いろいろ面倒なことが生じます。
これはどうしても避けたいということで、推定が被らないギリギリのところで、100日になったのです。

また、離婚時に妊娠していなければ関係ないので、妊娠していない女性は対象から外れました。
また、離婚時には妊娠していても、その後出産した女性も関係ないので(前夫の子どもとの推定を受けます)、対象から外れました。