配偶者がいない人が亡くなった場合

2015年の国勢調査によると、生涯未婚率は男性が23.37%、女性が14.06%だったそうです。

ちなみに、生涯未婚率とは、50歳まで一度も結婚をしていない人の割合とされます。

離婚率も高いですし、夫婦のどちらかが亡くなった場合、残された方が亡くなる際には配偶者なしの状況が多いでしょうから、死亡時に配偶者が存在しない場合の相続関係は、結構身近な話なのではないかと思います。

今日は、配偶者がいない場合の相続関係についてお話ししたいと思います。

有効な遺言がある場合

まずは、有効な遺言書があるかどうかです。
有効な遺言書があれば、遺留分を除き、その通りに財産が分けられるでしょう。

有効な遺言がない場合

遺言がない場合、あるいはあっても無効な場合には、子どもがいるかどうかがポイントです。
生涯独身であったとしても、認知をした子どもがいたり、養子縁組をしている場合もあるため、確認した方が良いでしょう。
子どもは第1順位の相続人です。
養子を含め子どもがいた場合には、子どもが全て相続します。
複数いる場合には頭数で分けます。
3人いれば3分の1ずつです。

実子なのか養子なのか、嫡出子なのか非嫡出子なのかによる違いはありません。

子どもがいない場合

子どもがいない場合には、次の順位の相続人は直系尊属です。
両親や祖父母ですね。
両親ともに存命の場合には2人ともが2分の1ずつ、どちらか一方だけ存命の場合には、その人が全額を相続します。

もし両親とも亡くなっていた場合で祖父母が健在であれば祖父母が相続人となり、複数いればその頭数で分けます。

ちなみに、養親(養子縁組をした親となった人)も親に含まれます。

直系尊属がみな亡くなっている場合

直系尊属が存命でない場合には、次の順位の相続人は兄弟姉妹です。
ここが少し複雑なのですが、亡くなった本人と両親が同じであれば1人、片親のみ同じで半分血が繋がった状態であれば0.5人として計算して分けます。
両親同じ兄と、腹違いの妹がいる場合には、兄が3分の2、妹が3分の2の割合で相続します。

途中で誰かが放棄した場合

子どもはいるけれども、その全員が相続放棄したような場合には、いないものとして扱われ、第2順位の直系尊属が相続することになります。

子どもや兄弟姉妹が亡くなっている場合

子どもはいたけれども、すでに亡くなっている場合、もしもその子どもに子どもがいれば、その人が相続人となります。
被相続人から見ると孫にあたりますね。

代襲相続といいます。
亡くなった子どもが受け取るはずだった相続分を、孫が頭数で分けることになります。
子どもが2人いて、そのうち1人が亡くなっていて、その子どもが2人いる場合には、生きている子どもが2分の1、孫(亡くなった子どもの子ども)2人が4分の1ずつ相続します。

直系卑属、つまり子どもや孫、ひ孫の場合には、制限なく代襲相続されます。
孫が亡くなっていてもひ孫がいればひ孫に、再代襲されるわけです。

一方、兄弟姉妹が亡くなっていて、生きていれば相続人となっていた場合には、兄弟姉妹の子どもは代襲相続ができますが、孫以降はできません。

あまり遠い縁まで認めてしまうと、親交がなく、赤の他人に近いような人が思いがけず得をしてしまうことになりますし、兄弟姉妹の孫にとても思い入れがあり、相続をさせたいと願うのであれば、遺言をすれば良いからです。

相続人がいない、もしくは全員が相続放棄した場合

上記のような順位で辿っていっても相続人が存在しない場合、もしくは、存在しても全員が相続を放棄した場合、もし内縁の妻や夫など財産分与を受けるにふさわしい特別な関係のある人がいれば、その人が申し出をして裁判所が認めれば財産分与を受けることができます。
上記のような特別な関係のある人を特別縁故者といいます。

特別縁故者がいない場合や、財産の残りがある場合

特別縁故者がいない場合や、特別縁故者がいて財産分与がなされたけれども残りがある場合、被相続人の財産の中に誰かと共有しているものがあれば、その共有持分は他の共有者に帰属します。

残った財産の行き先

そこでも残った財産は、国庫に帰属することとなります。

最後に

今日は、配偶者がいない場合の遺産相続についてお話ししました。
最近では、 結婚はしないものの結婚に近い状態(同棲や事実婚、内縁など)のカップルもいますよね。
ただ、そういったパートナーには、子どもや親、祖父母や孫、兄弟姉妹、甥っ子姪っ子、そういった人たちがいない場合で、かつ裁判所が認めた場合にしか財産分与はされないのです。
法律婚をしない(婚姻届を出さない)という選択をする理由は人それぞれだと思いますが、もし自分の死亡時にパートナーに財産を少しでも渡したいと願うのであれば、遺言書を残してあげる必要があると思います。
遺言書がないために、内縁関係の相手の兄弟にそれまで住んでいた家から立ち退きを求められるといった事例はたくさんありますから。


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