遺産分割が終わったのに、新たに相続人が出てきたら

認知の効力

子が認知がされると、その子が生まれた時に効果がさかのぼります。
とすると、被相続人の死後に認知された人は、その人の生まれた時から被相続人の子どもであったことになります。
ただし、その場合でも、第三者の権利を害することはできないと定められています。

では、遺産分割が終わった後に被相続人の子どもが認知された場合、すでになされた遺産分割の効力はどうなるでしょうか?

価額のみの支払い請求

民法では、遺産分割後に認知された子どもは、他の相続人に対して相続分に応じた価額を支払うように請求することができると定められています。
民法910条です。
認知された子どもの権利に配慮しつつ、他の相続人やその財産を譲り受けた人たちの権利にも配慮した、いわば妥協案ですね。

認知以外の場合

では、子どもが認知によって(実際には)後から相続人となった場合以外の場面でも、上記の910条は使えるでしょうか?
たとえば、遺産分割その他の処分後に他に相続人がいることが明らかになった場合、相続分に応じた価額の請求ができるでしょうか?

実はこの場合には、910条は使えないと考えられています。
ではどうなるのかというと、この場合遺産分割は無効になって、再度分割することになります。

910条というのは、相続人から土地や不動産などの現物を引き継ぐという選択をする権利を奪う決まりでもあります。
金銭の請求しかできないのですから。
なので、できる限り使う場面を狭く解釈するように考えられているのです。


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