亡くなった時
今日は、相続の原因についてお話したいと思います。
相続の原因というのは、何があったら相続が始まるのか?ということです。
まずは、誰かが亡くなった時です。
常識と言えるでしょう。
民法第882条は、
「相続は、死亡によって開始する」と規定しています。
現在は、原則は三兆候説(さんちょうこうせつ)というのがとられているので
・呼吸が止まって戻らないこと(呼吸の不可逆的停止)
・心臓が止まって戻らないこと(心臓の不可逆的停止)
・瞳孔の光反射がなくなること(瞳孔の拡散)
の3つが揃った時に、亡くなったと判断されます。
失踪宣告
民法には、本来の死亡の他に、擬制的に亡くなったものとみなす制度があります。
たとえば、夫が行方不明になり、帰ってこない時、いつまでも夫名義の土地や建物、預金を処分できないと、困りそうですよね。
そんな時のために定められているのが、失踪宣告(しっそうせんこく)という制度です。
生きているのか死んでいるのか分からなくなって(生死不明の状態)7年以上経つと、家族など、利害関係がある人は、裁判所に失踪宣告の請求ができます。
失踪宣告がなされると、行方不明になって7年経過した時点をもって、亡くなったものとみなされます。
これが、普通失踪の失踪宣告です。
普通があるということは、特別があるわけで、死亡した可能性が非常に高い場合には、1年間生死不明だと失踪宣告の請求ができます。
死亡した可能性が非常に高い場合として、戦地に臨んだ場合、沈没した船にいた場合などが挙げられています。
特別失踪の失踪宣告の場合には、普通失踪と異なり、1年間経過した時点ではなく、戦争が終わった後や、船が沈没した後など、危険な状態がおさまった時点で亡くなったものとみなされます。
認定死亡
また、似たような制度として、認定死亡というものもあります。
これは、戸籍法に基づく制度です。
水難、火災などで死亡した可能性が高い場合に、調査をした官公署の死亡報告に基づいて、戸籍上死亡したものと扱います。
死亡報告書記載の死亡日時において、亡くなったものとされます。
失踪宣告は、家庭裁判所が判断しますが、認定死亡は官公署が調査報告します。
また、仮に生きているのが証明された場合でも、失踪宣告の場合には失踪宣告取消しの審判を請求する必要がありますが、認定死亡の場合には、当然に取り消され、戸籍も修正されます。