今日は普通の方式の遺言3種類のうちの最後のひとつ、秘密証書遺言のデメリットについてお話しします。
昨日は秘密証書遺言のメリットについてお話ししました。
自筆証書遺言と公正証書遺言のいいとこどりのような秘密証書遺言のメリットでしたが、実はあまり利用されていません。
それは、以下のようなデメリットがあるからなんです。
遺言が無効になる可能性がある
秘密証書遺言も、他の遺言の方式と同様、厳格に方式が定められています。
例えば、秘密証書遺言は遺言書に押印をしたのと同じ印で封印をしなければなりません。
ですが公証人や証人は、封印をした後の姿しか見ていないため、同じ印が使われているか否か、知るすべはありません。
内容を秘密にできる反面、誰のチェックも受けていないということで、形式違反で無効になってしまう可能性があるのです。
また内容についても、不明確で解釈が分かれるような場合には、せっかくのこした遺言の意味がきちんと伝わらないおそれがあるでしょう。
遺言が発見されない可能性がある
秘密証書遺言は、遺言書の存在自体は公証人と2人の証人が確認しています。
ですが、公正証書遺言と異なり、保管は自分自身でしなければなりません。
紛失や盗難のおそれもあり得ますし、きちんと保管していたとしても、相続人がその存在や保管場所を知らなければ、せっかく作った遺言書が発見されない可能性があるのです。
検認が必要
秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同様、発見したとしてもすぐに開けてはいけません。
家庭裁判所での検認を経る必要があります。
このため、検認が不要な公正証書遺言に比べ、手間と時間がかかります。
手続きが煩雑で、費用が掛かる
秘密証書遺言を作成するには、公証人と2人の証人に確認をお願いしなければなりませんので、公正証書遺言と同様、手間と費用が掛かります。
最後に
秘密証書遺言のメリットは、自筆証書遺言と公正証書遺言のいいとこどりのようなイメージでした。
ですが以上のように、秘密証書遺言のデメリットもまた、自筆証書遺言と公正証書遺言の悪いところどりのようなイメージなのです。
このために、なかなか利用されていないのではないかと思います。
どの方式にも、それぞれメリット・デメリットありますので、優先事項を考えながら選ぶのが一番ですね。
ちなみに、手間や費用は掛かってもいい、それでもどうしても内容は知られたくないし、本文を自筆するのは嫌だ、といった方には秘密証書遺言はちょうどいいのだと思います。