遺留分
財産と呼べる財産は、先祖伝来の農地しかない。
だけど、子どもはABCの3人いる。
BCの2人はすでに都心で就職していて、農地に興味はないようだ。
農地の農業は長男Aが継ぐ予定で手伝っている。
そんな場合でも、子どもには遺留分があります。
全体で2分の1なので、ABCには、各6分の1の遺留分があります。
遺言で農地を長男Aには相続させるとのこしても、もしもBCが遺留分減殺請求をすると、農地の価格の6分の1をBCそれぞれに渡すなどしなければならず、父の望みを叶えることはできません。
遺留分の事前放棄
こういう場合にできることは、遺留分の事前放棄です。
「事前」なので、父が生きている間にできます。
ただですね、家庭裁判所の許可が必要です。
脅されたり、理不尽な理由で遺留分を取り上げられるのを防ぐためです。
家庭裁判所が、放棄する人(ここではBC)の真意に基づくものなのか、放棄する理由が客観的にみて妥当かどうかというのを判断します。
真意であって、理由が妥当であると認められれば、遺留分の事前放棄が許可されます。
遺言
ここで放棄が認められるのは、「遺留分」です。
「相続分」ではありません。
なので、Aが農地を単独で相続するには、もう一手間が必要です。
そう、「Aに農地を相続させる」旨の遺言です。
遺留分の事前放棄プラス遺言で、父はAに農地を単独で相続させることができるんです。