相続されるのはプラスの財産だけじゃない
相続されるのは「被相続人の財産に属した一切の権利義務」です。
これは、預金や土地建物の所有権といったプラスの財産のみならず、借金があれば借金も、家を売る契約をしていた場合、家を引き渡す義務も相続されます。
死亡によって消滅するとされているもの
ただし、当事者が亡くなることで、消滅する権利義務もあります。
これに当たる場合には、相続の対象とはなりません。
たとえば、代理契約をしていて、亡くなった人が代理人もしくは本人であった場合、代理権は消滅します。
使用貸借の借主であった場合(無料で何かを借りていたような場合)、借りる権利は消滅します。
誰かに何かを委任したりされたりしていた場合、その委任関係も消滅します。
一身専属権とは
被相続人の一身に専属した権利義務は、例外的に相続されないとされています。
どういったものがこれに当たるかというと、よく挙げられるのが、絵を描く債務や、演奏をする債務などですね。
たとえば、有名な画家やピアニストが、絵を描くという契約やピアノを演奏するという契約をしていた場合、本人が亡くなってそれを相続させて、相続した人に絵を描いてもらったり、ピアノを演奏してもらったりしても意味がないですから。
このように、本人がやってこそ意味があるような権利義務は、本人が亡くなると一緒に消滅します。
また、親権だったり扶養請求権といった権利も、本人と他者との関係性に基づく権利なので、相続の対象とするのが適切ではないと考えられるため、一身専属権に当たり、相続されません。