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秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言というと、どうしてもイメージがつかみづらいため、昨日は秘密証書遺言とはそもそも何ぞやというお話をしました。
今日は予告通り、秘密証書遺言のメリットについてお話をしたいと思います。

偽造や変造など、後からいじられるおそれがない

秘密証書遺言は、遺言をする人自身が封をし、さらにそこに公証人と証人2人、そして本人が署名押印をしましたよね。
もしも誰かが遺言書の内容を自分に有利にしたくて中身を確認して書き換えようとすると、どうしても封を開けなければなりませんが、封を開けてしまうと、秘密証書遺言は無効となります。

無効になってしまうと、いくら書き換えても意味がありませんので、秘密証書遺言は、偽造や変造などをされるおそれがないといえます。

パソコンなどで作成できる

自筆証書遺言は全文を自筆する必要がありましたが、秘密証書遺言は署名を自筆して、押印することさえできれば、本文は自筆でなくても構いません。
遺言の内容にもよりますが、書くことが多いと、全文を自筆するのって結構大変ですよね。

年賀状の宛名でさえ、プリンタで印刷するような時代ですから、労力や読みやすさ、また編集のしやすさからもパソコンでできたほうが楽だと思う人のほうが多いのではないでしょうか。
そんな人のニーズに応えられるのが、秘密証書遺言です。

内容が誰にもばれない

昨日もお話ししましたが、内容の作成から、封入までは、他者の介入がありません。

公正証書遺言の場合には、公証人や2人の証人には内容が分かってしまいます。
遺言って、認知とかもできますから、守秘義務もあるし信頼できる人を選んでいるとはいえ、やっぱりどうしても知られたくないこともありますもんね。

遺言があること自体は明確にできる

自筆証書遺言の場合には、内容は秘密にできるものの、発見されないかもしれないという心配がありました。

ですが秘密証書遺言は、公証人や証人がその遺言の存在を確認してくれています。
内容は誰にも知られない一方で、その存在自体は明確にすることができるため、安心だといえます。

最後に

今日は秘密証書遺言のメリットについてお話ししました。
秘密証書遺言は、公正証書遺言と自筆証書遺言の両者の性格を併せ持った方式なので、メリットも両者のいいとこどりのように感じるかもしれません。

ですが、実は秘密証書遺言というのはあまり利用されていないのが現状なのです。
それはどうしてなのか、明日は秘密証書遺言のデメリットについてお話ししたいと思います。


秘密証書遺言について

昨日は、公正証書遺言のデメリットについてお話ししました。
今日は普通の方式の遺言3種類のうちの最後の一つ、秘密証書遺言のメリットについてお話ししたいと思っていました。
ですが、秘密証書遺言というものそのものが、少しイメージしにくいものですので、そもそも秘密証書遺言とは何ぞやというところをまずお話ししたいと思います。

秘密証書遺言とは

自筆証書遺言や公正証書遺言は、比較的イメージがいやすいと思うのですが、秘密証書遺言は、ちょっとわかりづらいですよね。
秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置すると考えていただくと、少しはイメージしやすいかもしれません。

自筆証書遺言との類似点

自筆証書遺言は、署名と押印は自分でする必要がありますが、本文は自筆でなくても構いません。
パソコンなどで作成しても大丈夫です。
遺言書に署名と押印をしたら、封筒に入れて封をして、遺言書に押印したものと同じ印で封をします。
ここまで他人の介入がありませんので、内容を秘密にしておけます。
内容を秘密にしておけるところは、自筆証書遺言と同様です。

公正証書遺言との類似点

次は公証人と2人の証人の出番です。
公証人と2人の証人に対して封筒を見せて、自分の遺言書であること、名前、住所を伝えます。
公証人は、封筒を見せられた日付と本人の言った「〇〇の遺言であること、住所」を封筒に書いて、遺言者と証人2人、公証人の4人全員が署名と押印をします。
このように、手続きの中に公証人や証人が登場するところは、公正証書遺言と同様です。

最後に

今日は、秘密証書遺言とはそもそもどんなものなのかというのをお話ししました。
自筆証書遺言とも公正証書遺言とも同じなようで同じでない。
どんな場合に使うのが最適なんだろうか、疑問が出てくると思います。
ということで明日は、今度こそ秘密証書遺言のメリットについてお話をしたいと思います。


公正証書遺言のデメリット

昨日は、公正証書遺言のメリットについてお話ししました。
たくさんのメリットがありましたね。
では、3つの普通の方式の遺言の中で、公正証書遺言が一番優れているのかというと、そういうわけでもないのです。
いいところもあれば悪いところもあります。
今日は、公正証書遺言のデメリットについてお話をしたいと思います。

手間がかかる

公正証書遺言は、基本的には公証役場まで出向かなければなりません。
ただし、費用は上乗せされますが、自宅や病院に出張をして作成してもらうこともできます。

費用がかかる

公正証書遺言は、公証人に作成してもらう必要があり、その際に手数料がかかります。
手数料は5000円から、遺言書に記載する財産の額が大きくなればなるほど多額の手数料がかかります。
また、先ほどお話しした出張の場合には、手数料は公証役場に出向いた場合の1.5倍になり、交通費もかかります。

証人が必要

公正証書遺言を作成するには、証人2人の立ち合いが必要です。
利害関係がある人は証人にはなれないため、ご家族に頼むことができません。
証人は遺言の内容を確認する役目を担うため、きちんと確認をしてくれ、かつ内容を秘密にしてくれる人でないとなりません。
また、公証役場まで出向いてもらう必要もあるため、なかなか頼みづらいかもしれませんね。
証人を用意するのが難しい方にとっては、デメリットだといえるでしょう。

最後に

以上、今日は公正証書遺言のデメリットをお話ししました。
明日と明後日は普通の方式の遺言の最後の1つ、秘密証書遺言のメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。


公正証書遺言のメリット

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人に作成してもらう遺言です。
基本的には公証役場まで出向いて、公証人の他に2人の証人の立会いが必要です。

公正証書遺言のメリット

形式や表現の点で確実

公正証書遺言は、公証人が作成するため、形式を満たさずに無効となることはないでしょう。
また、不明確な表現によって争いを招くことも、ほとんどないでしょう。

偽造や紛失のおそれがない

公正証書遺言は公証役場できちんと保管されているため、自宅などで保存した場合に比べ、偽造や変造のおそれがありません。

文字が書けなくても作成できる

自筆証書遺言の場合には、全文、日付、氏名を遺言をする人自身が書かなければ無効となってしまいます。
公正証書遺言は、遺言の内容を公証人に口頭で伝えて作成することができるため、文字が書けなくても有効に作れます。

検認が不要

自筆証書遺言遺言の場合には、遺言を見つけてもすぐには開けられず、家庭裁判所で検認という手続きを経なければならないというお話をしました。
一方、公正証書遺言の場合には、検認は不要とされています。
検認不要のため、自筆証書遺言に比べて、速やかに遺言の内容を実現することができます。


自筆証書遺言のデメリット

見つからないかも

自筆証書遺言のメリットは、遺言を作成したことやその存在を誰にも内緒にできることだとお話ししました。
それはメリットでもあるのですが、デメリットにもなりえます。
死後に遺言が見つからなければ、せっかく遺した意思が伝わらないおそれがあります。
必ず見つけてもらえる場所に保管するなどの工夫が必要でしょう。

偽造や変造のおそれ

自筆証書遺言は、個人での保管になります。
厳重に保管をしたとしても限界がありますので、偽造されたり変造されたりして、遺言をした人の意思がきちんと伝わらないおそれがあります。

検認が必要

自筆証書遺言は、見つけたからといってすぐに開けてはいけません。
家庭裁判所で、検認を経る必要があります。
検認は、相続人に対して、遺言の存在や内容を知らせる手続きです。
家庭裁判所が、検認をした日における遺言書の内容(日付や署名など)や状態を確認します。
そのため、少し手間がかかり、また、内容を確認できるまでに多少の時間がかかるのがデメリットといえるでしょう。

無効になるおそれ

自分自身で気軽に作成できるのが自筆証書遺言のメリットです。
反面、誰のチェックも受けずに作れるため、必要な記載が欠けていたり、内容が不明確な場合があります。
必要な記載が欠けていると無効になります。
また、内容が不明確だと、その解釈を巡って紛争が生じて、結局もめてしまうおそれもあります。