遺産分割の理念

「相続させる」旨の遺言

昨日は、遺産分割がなされるまでは、原則として遺産は相続人全員の共有になるというお話をしました。

ただし、「不動産は誰々に相続させる」といった遺言がある場合には、その不動産は共有財産には含まれず、その指定された相続人に帰属します。
遺産分割が必要なのは、遺言がない場合、もしくは、「誰々の相続分は3分の1とする」などと、特定の財産ではなく割合を指定しているような場合です。

どういうふうに分けるか?

遺産分割は、以下のような理念のもと行われるべきと考えられています。
・相続人間の実質的な平等と公平
実質的という言葉が意味するのは、単に割合的なものではなく、遺産と相続人の関係を考えた上での妥当性です。
・相続人の意思
たとえ法定相続分と異なっていたとしても、全員がそれに納得しているのであれば、そちらが優先されます。
・遺産の社会的経済的一体性と全体的な価値の尊重
雑な例えで申し訳ないですが、鍋の本体と蓋はセットにして考えようね、という感じです。
・合目的的総合的分割をする
これも分かりにくいですが、単に割合的に分けるのではなく、個人個人の生活や利害関係、思い入れを考慮するということですね。
被相続人と一緒に事業を営んでいた人には、事業で使用していたものがこれからの生活のために大事でしょうし、被相続人の家に被相続人と一緒に住んでいた人なら、思い出のたくさん詰まったその家が大事だと思います。
単に財産的な価値だけではなくて、その人個人にとっての価値の大小があるので、そこもできるだけ考慮しようということです。


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