準正には2種類ある
昨日は、嫡出子としての推定を受けない子どもでも、婚姻と認知という要件が揃ったときに、嫡出子となるというお話をしました。
2種類あると書いたものの、そんなに大袈裟な話ではなく、婚姻が先なのか、認知が先なのかによって、呼ばれ方が違うというだけです。
婚姻準正と認知準正
認知→婚姻という順番だと、婚姻準正となります。
婚姻準正の場合には、婚姻をしたときに、嫡出子になります。
それまでは、非嫡出子です。
婚姻→認知という順番だと、認知準正です。
ということで、「〇〇準正」の〇〇に入るのは、順番的に後に来る方です。
認知準正の場合に、嫡出子となるとき
認知準正の場合には、認知をしたときに嫡出子となるというふうに民法の条文上は規定されています。
ですが、条文を無視して、認知準正の場合にも婚姻時に嫡出子になると解釈されてきました。
なぜ条文を無視してまで強引にそのような解釈をしてきたかというと、以前は、嫡出子と非嫡出子の法定相続分が違っていたからです。
非嫡出子は、嫡出子の半分しか法定相続分がありませんでした。
認知は、父の死後に強制的に求めることもできます。
もし、被相続人の死後に認知がなされた場合、認知時に嫡出子となったとしても、相続の開始時には非嫡出子として扱われ、遺産は嫡出子の半分しかもらえませんでした。
それでは意味がないということで、認知準正の場合も、嫡出子となるのは婚姻の時と解釈されていたのです。
ですが、現在は嫡出子も非嫡出子も、法定相続分は同じになりました。
ということで、認知準正の場合には、条文通りに認知時に嫡出子となるとしても、不都合はないので、あえて条文と異なる解釈をする必要は無いと思います。