特別受益の具体例2

生計の資本

昨日は、「遺贈を受け、または婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者」が特別受益者とされているということで、具体例を挙げてお話をさせていただきました。
今日は後半部分の、「生計の資本として」の贈与についてお話ししたいと思います。

生計の資本としての贈与とは、社会生活を営むための基礎として役立つような贈与であるとされています。
例えば、独立資金や、土地や建物、農地の贈与などですね。

その他、議論されたものとしては以下のようなものがあります。

教育費

高校や大学、大学院、専門学校などの学費や留学費用などは、被相続人の財産状況や社会的地位を考慮して相当な範囲で、かつ他の兄弟姉妹と比較して特別不公平でなければ、特別受益にはならないと判断されることが多いです。

債務の肩代わり

被相続人が連帯保証や身元保証などで、相続人の1人の多額の債務を代わりに支払い、返してもらっていないような場合には、特別受益に当たると判断されることが多いです。

生命保険金

生命保険の受取人が、相続人の1人のみになっている場合には、受取人の生活状況や、被相続人がその者を受取人とした意味、金額などを考慮して、特別受益に当たるかどうかが判断されているようです。

また、特別受益になるとしても、保険金の分を丸々持ち戻すべきとは考えられていませんが、計算方法については諸説あって、裁判所の判断もまちまちです。

死亡退職金など

法律や、勤めていた会社の決まりで定められた者が受け取る遺族給付については、特別受益に含めることが多いです。

受取人は決まりで定められているだけなので、特にその者を受取人にしようという被相続人の意思はないからです。
また、死亡退職金は給料の後払いの性質を有するので、給料であれば、被相続人の相続財産の中に含めるのが適当だからです。


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